「正解するカド」の真エンドを考えてみる回

正解するカド」というアニメを観た。

現代日本に突如現れた一辺2km以上の立方体。
立方体は羽田空港の滑走路に出現し、偶然その下に居た旅客機を押しつぶす…ではなく、内部に取り込んだ。
旅客機に乗っていた外務省の誇るネゴシエーターの真道 幸路朗はその立方体、カドの内部で「異方」を名乗る異次元人ヤハクィザシュニナに出会う。

そんな始まりで、最終話まで観て、考察を覗いてみて思うところがあったのでまとめてみた回です。

以降、正解するカドのネタバレしかないです。
アニメ版しか観てないので、コミカライズやら特典映像やら12.5話は無視した内容です。
細かいところ覚えてないのでググってるし、間違いあるかも。

もう少しまとめるに至った理由を補足。

(この辺書いてたらうっかり消したので2回め書く気力ない。要するに真道 幸花のタコ殴りは気に食わないけど、展開自体は嫌いじゃないよって話。
なので色々整理しつつ考えます。

授けられた異方

ヤハクィザシュニナから授けられた異方は全部で4つ。
(以下たまにザシュニナと略します)

ここ見ながらまとめたので、ちゃんと読むためにはこっち。ここの表記は必要そうな部分だけ。

①カド
地球宇宙に最初に授けられた異方。
授けられたというより、ザシュニナが地球に訪れるためのUFOみたいなもの。
異方と地球を接続する変換機構。

①-2 フレゴニクス
異方の「すごい隔絶」「境界」を意味する言葉。
徹甲弾でも破れない。すごいぞ。
カドの周囲はこれで覆われているので外部からの破壊が不可能だった。
ザシュニナに対してもバリアのように覆っている。
終盤のナンカスゴイブレードの正体もこれ。「隔絶」は防御だけでなく、物体同士の繋がりも隔絶するってやつでしょうか。

②ワム
2つで1つな無限電気エネルギー機関。
ただの紙からでも折り紙のように形状を再現することで同じ能力を得ることができる。
ちなみに真道の趣味は折り紙らしい。

②-2 超空間接続ワム
真道が知らなかったワム。
ザシュニナから品輪博士に直々に伝えられていた。
通常ワムとはおそらく異なる製法で、場所を転移する機能も備えたワムが作り出せる。

③サンサ
見ると異方の感覚を得ることができて、複数の自分を認識できるようになる。(おそらく感覚の会得までには個人差がある)
作中では眠らなくて済むことに注視されていたけれど、おそらくワークシェアリングして並列思考とかできたのではと思う。

④ナノミスハイン
重力制御や質量制御や時間制御など、地球上の物理法則を無視した行動を行えるようになる補助具。
行使できるようになるためには前者3つの異方とは異なり、実際に触れる必要がある。
もうこれ一つでいいんじゃないかなってくらいのチートアイテム。

ザシュニナ的には、
①カドで顕現して「異方」の存在を地球に知らしめる(+自身が地球に移動するための経路を得る
②ワムで地球のエネルギー問題を解消し、地球人から好意を得る
③サンサで地球人に異方を覗かせ、実体験と異方への耐性をつける
④ナノミスハインで異方に訪れるための訓練をする
⑤異方に地球人を連れ出す
…のようなシナリオだったのだろうか。

人造の異方

対して、終盤(ナノミスハインが真道に提示された後)は対ヤハクィザシュニナに向けて策が練られる。

真道が対策するべき点は、ここまでで判明していた異方に対しては2点。
 ※第5の異方…とか出すこともできただろうし、それには対策不能だからね。
どっちもフレゴニクスでわかりにくいので便宜上の名前で表現してみると、
・ザシュニナの放ったナンカスゴイブレード→フレゴニクスブレード
・ザシュニナを覆うフレゴニクス→フレゴニクスクスガード

そして対異方存在アイテムとして、沙羅花から「隔絶体」が授けられている。
隔絶体で異方に触れることで対象を閉じ込めることができるが、フレゴニクスガードがある状態では使えない。

フレゴニクスブレードを防げなければ、真道は即死級のダメージを食らう。
フレゴニクスガードを破れない限り、ザシュニナには舌戦しか挑めない。真道の得意分野では?ザシュニナの行動を物理的に止めるためにはフレゴニクスガードを消した上で触れる必要がある。

対ヤハクィザシュニナのためにはフレゴニクスを破る手段が必須であり、品輪博士に協力を仰ぎ、アンタゴニクスを開発、それに耐えうる技術として刑部鍍金が実用化する。次はデザイン監修も増やしましょう。

アンタゴニクスはフレゴニクスを意図的に発生可能な装置である。
そしてフレゴニクス発生時には対流が生まれ、フレゴニクス同士で逆の対流を合わせると打ち消し合って無効化される。
アンタゴニクスを手に入れることで、フレゴニクスブレードも、フレゴニクスガードも、打ち消すための能力を得たことになる。
これで対ヤハクイザシュニナの準備が整うわけですね。

このアンタゴニクス、作中の発言を見ると「無効化」と「発生」で別の機能らしく、1回セットしたら逆の機能としての自由な切り替えはできなさそうです。
真道の両手・首もとの3ポイントにアンタゴニクスが配置され、右手は「無効化」、首元は「発生」であることがザシュニナにより明言されています。(左手もおそらく無効化だった?
真道いわく「無効化で覆われていて、内部干渉は不可能」とも言ってるので、全部が「無効化」で、その周囲を「発生」が覆ってただけかもしれません。

真道用対ヤハクィザシュニナ作戦

対ヤハクィザシュニナにおいて、真道は最もザシュニナから信頼を勝ち取れたキーパーソンとして、直接対決を求められた立場です。
そんな彼に与えられた作戦は以下の通り。

・沙羅花より隔絶体を授けられる
・品輪博士の協力を得て、対フレゴニクス装置を作る
・品輪博士、アンタゴニクスのデータを開発。実際の作業環境が必要になる。→刑部鍍金に技術協力を得る。
・ザシュニナと直接対決する。ザシュニナのフレゴニクスをアンタゴニクスによって無効化し、隔絶体で触れることでザシュニナを封印する

彼の作戦において想定外となったのが品輪博士に与えられていた超空間接続ワムの開発です。
そもそもが品輪博士は異方賛成派だったのでしょうね。技術を創ることに興味はあったけれど、ザシュニナが封じられては異方に触れる手段がなくなってしまう。
彼女にとって「アンタゴニクスによってフレゴニクスを破る手段が実現できた」までが目的だったので、通常ワムではなく、超空間接続ワムを意図的に用いてザシュニナの勝ち目を作った。ザシュニナはそれを汲み取り、アンタゴニクスの発生を不可能とした。

これにより作戦実行時に以下のトラブルが起きたわけです。
・ザシュニナはフレゴニクスの対流を合わせると無効化できる事実を知っていた
・真道たちがそれを作戦として用いることを読んでいた
・真道が持っているであろうフレゴニクス無効化用の超空間接続ワムを自分のもとに移転させる。真道が保有するアンタゴニクスが動作しなくなる
・真道にフレゴニクスブレードが刺さる

もし品輪博士が超空間接続ワムを活用しなかったら成り立たないわけですが、作中で最も異方に技術的な興味を示した品輪博士が意図的に通常ワムを使うのであればそれは異方への拒絶であり、超空間接続ワムを使えなかったのであれば人類はザシュニナの期待に答えられなかったとして、ある意味ザシュニナと人類の敗北です。

幸花の違和感

この考察で最も語りたかった、この物語の締めくくりをパワープレイで収めてしまった戦犯です。

幸花は異方と人類の間に生まれたことで、異方も人類も超えた存在となり、ザシュニナが放つフレゴニクスの概念を正確に理解していることで、アンタゴニクスなしでフレゴニクスを無効化しています。

しかし、異方と人類の間に生まれるだけで、そんな知識を得られるのでしょうか?
「元異方である沙羅花によって育てられたので幼い頃から知識があった」ならまだしも、彼女を育てたのは異方の感覚はあるかもしれないけれど、一般人類の花森です。彼のみの教育で、16年で、あの能力が付くとは思えません。

アニメの展開はザシュニナを殴りつけて映像的なカタルシスを得ようとしただけでは?と邪推しています。
結局、彼女が存在するというだけで、十分に人類が異方を使いこなしているのです。

彼女の強さに対しては批判的です。
ですが、彼女の存在については好意的に捉えています。
彼女の異方に対する能力が存在しないと仮定した上で、次の作戦の考察に進みます。

沙羅花用対ヤハクィザシュニナ作戦

ザシュニナの真の目的は情報が不足した多次元対である異方に人類を連れ出し、新たな情報リソースを得ることでした。
ただ真道と対話するうちに、単純な人間のコピーではなく、本物の人間が必要であるとも考えを改めています。

これについて真道は「ザシュニナはサプライズを求めている」と表現しています。
真道の対ヤハクィザシュニナ作戦は異方を使った対異方の作戦。異方の知識をもたらした本人であるザシュニナには破られてしまう危険性が高い内容です。

真道はザシュニナを友とも表現しています。
敵を倒すための作戦でなく、友として和解するための策がもう一つ練られたと考えています。
それが異方と人類が紡ぐ未来、次世代の子供です。

ご都合主義敵に真道と恋仲になった沙羅花。
彼女は明確にザシュニナに対する敵意を持っていました。そんな彼女がザシュニナと対峙しない作戦行動を取っているのは、真道の交渉の賜物ではないでしょうか。

本編中ではさらっと流されたナノミスハイン。これは時間の流れを変えることが可能で、外部では10分でも内部では72時間が経過する、そんな芸当が可能です。(正確な時間は忘れたけど、そういうやつです。

本編の対ザシュニナの準備時間は1ヶ月(だったはず)、その間のタイムスケジュールが次のような流れだったと推測します。
通常世界はナノミスハインの外側、通常の時間軸です。
ナノミスハイン世界はナノミスハインの内側、時間軸が歪められ、より長い時間が経過する方の世界を指します。
・沙羅花が妊娠する(通常・ナノミスハイン世界どちらでも)
・(通常世界)沙羅花、ナノミスハイン世界へ。
・(通常世界)花森、ナノミスハイン世界へ。
・(ナノミスハイン世界)沙羅花、出産までの10ヶ月程度の間、花森に異方についてを伝える。
・(ナノミスハイン世界)沙羅花、出産。
・(ナノミスハイン世界)幸花、誕生。
・(ナノミスハイン世界)沙羅花、通常世界へ。
・(ナノミスハイン世界)花森、幸花を16年育成。
・(ナノミスハイン世界)花森・幸花、通常世界へ。
・(通常世界)花森、車でカドを突破。幸花を真道と沙羅花の元に届ける。

対ヤハクィザシュニナの時点で、各人の経過年齢が通常の流れと変わるわけですね。
・真道→ナノミスハインに関わっても数日程度、変化なし
・沙羅花→最低+10ヶ月、見た目に変化が無いのであっても1~2年程度?
・花森→最低+16年。可能性として沙羅花妊娠期間の+10ヶ月。見た目は変化しているが、20年以上の老け方ではなさそうなので、幸花と共に居た程度と推測。
・幸花→存在しなかった人物が16歳で登場する

花森は最初にカドに囚われたことで異方の感覚を得たとはいえ、あくまで普通の人類です。
彼に育てられた幸花がバリバリ異方ウーマンになれるとは思いません。
そのため、沙羅花の妊娠期間中に沙羅花から花森に異方についてを伝授されているのではと考えています。その後花森はつきっきりで異方についてと養育係として過ごします。

沙羅花から幸花へ異方が伝授されるにしては沙羅花は老けていないので、月に1日(16年分で半年くらい)来る家庭教師的なポジションだったのかもしれません。
また、真道・沙羅花に見た目的な変化があるとヤハクイザシュニナに違和感を持たれ、この作戦を看破される恐れがあります。
そのためにも養育係の第3者として花森が必要になります。可愛そうな男。

妄想するカド

沙羅花の作戦の結果新たに舞台に立つこととなった幸花。
しかし本編での彼女の無双は私は気に食わなかったわけです。
どういう終わりだったら納得できたのか。
考えてみた内容です。

①人類と異方の未来編

そもそもザシュニナは人類と異方の間の子供という存在に驚いています。
 真道「俺たちで人類と異方の未来を築いていこう」
 ザシュニナ「真道…(感涙」
 END.
これで終わる相手なら、楽なんでしょうね。

②さらばヤハクィザシュニナ編

自分の中で一番納得できる妄想です。

対ヤハクィザシュニナから、真道はやたらとザシュニナにとって、特別な存在になれるように立ち回っているように感じます。
対峙したときに友であるといい、真道の作戦が失敗したときも「驚かせられなかった」と謝罪するように呟きます。もうこれ恋人なんじゃないかな。

対して幸花登場。幸花からザシュニナに手渡されたスマホのムービー内では幸花の存在に対する種明かしの挙げ句「どうだ、ザシュニナ。驚いてもらえたか」です。おちょくって煽り倒してますよねこれ。

最も特別で信頼していた相手から裏切られたような、無念さのような、もはや人類という存在が不要と怒り狂うのではないでしょうか。

この時点ですでに真道は死亡。
目の前にはスマホを渡してきた幸花。
怒りをぶつける先は十中八九幸花でしょう。

フレゴニクスブレードで幸花に斬りかかるザシュニナ。そのフレゴニクスを「反射」する術があれば。ザシュニナは自分が振るう刃で、自らを斬られるのです。

…という、演出をするためにも幸花には限りなく一般人を演じてもらう必要があります。
登場時に変にカッコつけてスマホを無重力にして渡さず、歩いて手で直接渡しに行く。
その上で斬られると見せかけ、フレゴニクスを反射できる能力を発動する。

まぁ「反射」なんて能力、無いんですけれどね。
でも突然「異方と宇宙完全に理解した」とか言ってフレゴニクス無力化しだすよりは、ナノミスハインで曲げるとか言われた方が、よっぽど説得力あると思いますけどね。

斬られたザシュニナは最期に真道と過ごした時間を思い出し目を閉じて、後は本編と同じ感じで。

おわりに

対ヤハクィザシュニナの、フレゴニクスに対してワムからアンタゴニクスを生み出した作戦、ナノミスハインで時間を曲げて新たな一手を産み出した作戦。そしてきっとその裏で活躍してたサンサによる無限活動。異方をうまく活用した作戦の立て方はとても良いと思ってます。
ただただパワープレイされたのが気に食わなかっただけです。

CGアニメとして3Dモデルをフル活用したアニメながらも普通の手書きのアニメと遜色ないほどの魅力的なキャラに、最後のザシュニナの表情による怒り、絶望、慈愛の表現は見事なものでした。
そもそもこんなに一本のアニメに対してああだこうだ考える人じゃないんです、私。文句ばっか言ってるのも、大好きで気に入った作品であるが故です。愛って重いですね。

おまけ

本編中、ずっと「ヤハクイザシュナ」だとおもってました。
で、これ書いてる間。ずっと「ヤハクザシュニナ」だと思ってました。
正解は「ヤハクィザシュニナ」です。みなさんは正解できてましたか。

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